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思考 感覚

時間は遡る

目の前の景色は、過去から未来へと流れるように時を刻む。時間の流れをタイムラインという。タイムラインの見方には2通りあることを知ってほしい。左から右に車が走り去るような映像がスルータイムであり、自らが車を運転しているような映像がインタイムである。

過去とは記憶に残る確かなものと定義し、未来とはまだ見ぬ不確かなものと定義しておく。それを前提にして、自宅の洗面台の蛇口をひねり、水流の渦の中にインクを落とした場面を想像してみよう。インクの滴は秩序を失い、無秩序に発散していく様子を思い浮かべるはずである。これはインクの状態が過去から未来に移行したと言える。同じように、赤いりんごは腐り、鍛えた筋肉は衰える。目の前の景色は左から右に車が走り去るように、過去から未来に移行しているように見える。

しかし、知識を一つ増やして、こう解釈するとどうだろうか?量子力学には二重スリット実験と呼ばれるものがある。波状の性質を持つ電子は、観測されると、たちまち粒状の性質に変わるという量子実験である。実験は、あなたが瞼を瞬きするたびに、波状が粒状に変わり、素粒子が原子に変わり、原子が分子を変わり、分子が物質に変わることを予言している。

つまり、考えようによっては、毎秒、世界がリセットされては再構築されており、波動的で不確かな未来が瞬時に凝固して、物質的で確かな過去に遡っていると言える。自らが車を運転しているフロントガラスを介して、波動が粒子に変換され、未来から過去に遡っていると解釈できるのである。

時間を遡る見方をなぜ学ぶ必要があるのか?それはあなたが後悔した選択をやり直せるからである。間違えた選択を無効にできるからである。