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感覚

ロジックとマジック

マジシャンは派手な赤い玉に注目させて、地味な種を静かに隠す。小さな身振り手振りに注目させて、大きな仕掛けをゆっくり消す。彼らは注目をずらして、盲点に種や仕掛けを仕込む。

車の速度が上がると運転手の視界が狭くなるように、目の前で繰り広げられているにもかかわらず、盲点に隠れたものは認識が合わないため、解釈できず、隠れる。

7桁以上の数は、画面を切り替えた瞬間、驚きの速さで忘れる。小さなものは大きくまとめることで消える。

人の小さな動きに注目させて、地球の大きな動きが隠されている。

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思考 感覚

よく見るもの、よく聞くものに引き寄せられる

トルステン・ハーフェナーの本には、数学教師の馬が計算するという逸話が出てくる。

キース・バリーの話には、ロシアの盲人が指先で紙幣をなぞり、製造番号を読み当てるという逸話が出てくる。

馬がなぜ数を当てるのか、盲人がなぜ番号を言い当てるのか。

馬は出題者に表れる癖を見て、盲人は出題者が鳴らす癖を聞き、解釈したのである。

スマホカメラで血圧を測る技術がある。人が嘘をつく時に表れる顔面の血流を読み取り、AIがパターンを解釈する嘘発見技術を応用したものらしい。

現実を変えたいなら、馬のように2度は見なければならないし、盲人のように2度は聞かなければならない。細かく何度も認識するものに、記憶が引き寄せられ、解釈できるようになるのである。

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思考 感覚

時間は遡る

目の前の景色は、過去から未来へと流れるように時を刻む。時間の流れをタイムラインという。タイムラインの見方には2通りあることを知ってほしい。左から右に車が走り去るような映像がスルータイムであり、自らが車を運転しているような映像がインタイムである。

過去とは記憶に残る確かなものと定義し、未来とはまだ見ぬ不確かなものと定義しておく。それを前提にして、自宅の洗面台の蛇口をひねり、水流の渦の中にインクを落とした場面を想像してみよう。インクの滴は秩序を失い、無秩序に発散していく様子を思い浮かべるはずである。これはインクの状態が過去から未来に移行したと言える。同じように、赤いりんごは腐り、鍛えた筋肉は衰える。目の前の景色は左から右に車が走り去るように、過去から未来に移行しているように見える。

しかし、知識を一つ増やして、こう解釈するとどうだろうか?量子力学には二重スリット実験と呼ばれるものがある。波状の性質を持つ電子は、観測されると、たちまち粒状の性質に変わるという量子実験である。実験は、あなたが瞼を瞬きするたびに、波状が粒状に変わり、素粒子が原子に変わり、原子が分子を変わり、分子が物質に変わることを予言している。

つまり、考えようによっては、毎秒、世界がリセットされては再構築されており、波動的で不確かな未来が瞬時に凝固して、物質的で確かな過去に遡っていると言える。自らが車を運転しているフロントガラスを介して、波動が粒子に変換され、未来から過去に遡っていると解釈できるのである。

時間を遡る見方をなぜ学ぶ必要があるのか?それはあなたが後悔した選択をやり直せるからである。間違えた選択を無効にできるからである。

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感覚

情動が景色を生む

生命の根源は、生きることと、子孫を残すことである。

理想と現実のギャップを埋めるために、違和感のある隙間を埋めるために、不本意な穴を埋めるために、生きている。

発汗の色気、振動のリズム、時間のインタイムを揃えると、生きている実感が高まり、沸き立つ情動が殺風景な真空を埋めて艶かしい景色に変えてくれる。

雛が殻から孵るように、その景色が命を宿し、息吹けるかどうかは、適温を持続できるかに懸かっている。

熱力学の授業で、熱エネルギーは位置エネルギーと運動エネルギーに連動したことを思い出してほしい。位置エネルギーの視座と運動エネルギーの呼吸。つまり、息を見つめる瞑想が、持続性の秘密の鍵穴なのである。

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感覚

記憶を嗅ぐ

匂いは記憶に直結している。匂いで記憶を嗅ぎ分けている。知らないものは見えない。知っていても興味のないものは見えない。忘れたものも見えない。見えている景色は全体の一部でしかなく、見えていない景色で囲まれている。逆に言えば、目の前の景色は、知っていて、興味があり、忘れていない、記憶の断片で成り立っている。

知識を増やし、解釈を選び、記憶を変えれば、脳幹網様体が変わり、景色は違って見えてくる。

意図的に操作して、見たい景色を創り出し、その景色に麗しい香りをつけて、気持ち良い情動を記憶しなさい。身体的な刺激や発汗を伴って、快楽の情動をアンカリングしなさい。

情動が高ぶる幸せな記憶を嗅ぎ、今この瞬間に生きていることを感じなさい。あなたの内から漲る生命力を感じなさい。

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感覚

咀嚼して食べる

食べ物をよく噛むことを咀嚼という。子供の頃、あなたも親や先生からよく噛んで食べるように注意されたことだろう。なぜよく噛んで食べなければならないのか?大人になってからも理解できず、せわしない休憩時間に昼飯を飲み物のように食べる人も多いことだろう。

食べ物を噛むことで砕ける。砕けることで、栄養の吸収がよくなる。このような説明を受けるが、咀嚼は食べ物だけに限定された行為ではない。食べ物と同じように、景色も噛み砕くことで、知識の吸収がよくなるのだ。

音楽は、音階で分ける。
文章は、文節で分ける。
形は、色で分ける。
場所は、物で分ける。
地図は、座標で分ける。

いったん分けてから、再構築しよう。

音階をつなげて、音楽にする。
文節をつなげて、文章にする。
色をつなげて、形にする。
物をつなげて、場所にする。
座標をつなげて、地図にする。

再構築した景色は、無駄が取り除かれて本質だけが残るため、あなたは秘密を手に入れることができる。

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感覚

社会運動の起こし方

デレク・シヴァーズは、無意識を呼び起こし、集団を形成し、社会運動を巻き起こす秘術を明らかにした。人智を超えた無意識にはミラーリング作用がある。目の前の人物と同じ動作をしてしまうのだ。

1. 世間を改革するのは、よそ者、わか者、ばか者。

2. 最初のフォロワーが、ばか者をリーダーに変える。

3. 最初のフォロワーが、群衆に真似方を伝え、群衆は最初のフォロワーを真似る。

4. リーダーは、最初のフォロワーを対等に扱わなければいけない。

5. 第三者が加わった時点で集合になり、ニュースになる。

6. 臨界点に達すると、参加するリスクがなくなり、参加しない方がばかになる。

7. リーダーは自分ではなく社会運動に価値を置く。

雨傘運動の黄之鋒をリーダーに変えたのは、周庭の模倣である。最初のフォロワーが秘密の鍵だ。百聞は一見にしかず。さあ、リンクをクリックしてTEDをご覧あれ。

デレク・シヴァーズ「社会運動はどうやって起こすか」https://youtu.be/V74AxCqOTv

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思考 感覚

表出を測るプロファイリング

パスカルが看破したように、人間は考える葦である。考える能力は妄想する能力であり、嘘をつく能力と言い換えられる。

嘘や妄想は、信念や希望にも進化するため、絶対悪と決めつけられないが、詐欺や洗脳があとをたたないのは、人間が本質的に嘘つきで妄想癖を持つからである。

息を吸うように嘘をつく輩から身を守るために、身辺情報や機微情報から人物像を組み立てるプロファイリングという技術が開発されている。なぜ今日、その色を着て、そのブランドを持ち、そこに座るのか?なぜ姿勢が前に傾くのか?なぜ口角が上がるのか?なぜ瞬きするのか?持ち物や態度やしぐさから読み取れることは多くある。

持ち物や態度やしぐさは、声と同様に、心の表れであり、持ち物の色やブランドは気分や気質を象徴化しており、同意する場合は姿勢が前に揺れ、反対する場合は姿勢が後ろに揺れる。また目線と同様に足先は関心のある方角を向く。

虎穴に入らずんば虎子を得ず、をお勧めしない。君子危うきに近寄らず、をお勧めする。あなたの直感は正しく、ヤバそうな輩はやはりヤバいのだ。結果的にヤバくなかったとしても生きる世界が違うのだ。あなたがあなたらしく生きるためには、近寄らないことだ。

内なる情動と合わせて、表出を測るものさしを持たなければ、現実と理想のギャップは広がり始める。

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思考 感覚

色彩が気分を変えて、気分が現実を変える

色は、目で見れるだけではなく、心で感じることもできる。色は、外側の世界と内側の世界に通じる媒体なのである。おまけに色は数値化して操作しやすい媒体でもあるため、景色から不自然さや違和感をなくして臨場感を高め、情動を引き寄せやすい。

虹色を反射するものは、臨場感が高くなる。
階調が滑らかなものは、臨場感が高くなる。
影の奥行きを持つものは、臨場感が高くなる。
つまり、色の情報量を増やすと、臨場感が高くなる。

外側の感覚と内側の情動をつなげる色彩を広告媒体に使わない手はない。Appleが、色とりどりの音楽デバイスで、ブランドを訴求するのは、心理的効果が高いからだ。催眠療法のように、虹色でブランドに情動をアンカーできれば、ブランドをトリガーにして虹色の購買意欲を呼び覚ますことができる。

色だけではなく、音、香り、味、手触りの五感を刺激する媒体は、気分を変えることができる。気分で風景は変わらないが、気分で景色は変わる。例えば、街中でおかめが笑う同じ看板を発見しても、気分が悪ければ気色悪いやつに見えるし、気分が良ければかわいく見える。

好みの色が変われば、付き合う仲間や、出入りする店や、手に取る品物が変わり、しだいに身の回りの生活が変わっていく。

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思考 感覚

絵の上手な人と絵の下手な人

絵が上手な人と、下手な人の違いは何か?結論から伝えると、その絵をどこから持って来ているかに尽きる。絵が上手な人は左から右に絵を写しているが、絵が下手な人は心から絵を写している。

絵が上手な人は、左に配置した物を右に描き写すので、正確で写実的である。いきなり細かな部分から書き始める人もいる。

絵が下手な人は、心から引き出した曖昧なイメージを描き写すので、抽象画のような絵になる。全体の雰囲気から描き始める人が大半である。

上手な生き方の人と、下手な生き方の人の違いも、同じことが言える。

現実を上手に描き直したいなら、色鮮やかな内側の精神世界では情動の臨場感を観察し、無味乾燥な外側の物質世界では対象を数値で正確に模倣することに執着しなさい。

外側の模倣に内側の情動が連動した時、思考の現実化が始まり、正確な描写で現実を描き直せる。

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思考 感覚

生命の入口

空気があるのは当たり前。鼻から息を吸うのは当たり前。口から息を吐くのは当たり前。息をすることで生き長らえ、息を止めれば死ぬことも知っている。

生まれてから絶えず休まず繰り返す生命活動であり、当たり前すぎて、見えない、聞こえない、感じない無意識の生理機能にはたと気づき、息をすることが人生で一番楽しいと達観した人たちがいる。ヨガの達人や音楽家、水泳選手、医者たちである。

浅く短く胸で吸う肺呼吸では、人を動かすほどのエネルギーを吐き出せない。横隔膜を深く下げる腹式呼吸なら、政治家のような自信に満ち溢れ、歌手のような響き渡る大きなエネルギーで、人に感動や喜びを与えることができる。

子供の頃、洗面台に栓をして水を溜め、その水に顔をつけて何秒間息を止められるか競い合ったものだろう。潜水競技に限らず、スポーツは酸素を効率的に使うことが、勝敗の決め手になる。

呼吸の質を注意深く観察するだけで、洞察力、思考力、生命力をレベルアップできるという、密教の秘技を手に入れられるのだ。

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感覚

与えなさい、そうすれば与えられる

太陽光をガラスのプリズムに当てると、虹色の帯に分解できる。その帯を注意深く観察すると黒い線が走っていることに気づく。ニュートンに先駆けてフラウンフォーファーが最初に発見したので、フラウンフォーファーの暗線と呼ばれるものだ。太陽光は地表に届くまでに、その一部を誰かに食べられているのだ。誰が光を食べているのか?犯人はさまざまな原子である。

物質は光を吸収するのである。植物の光合成が分かりやすい例である。短い波長を吸って長い波長をはね返すものは赤く見え、長い波長を吸って短い波長をはね返すものは青く見え、すべての波長を吸うものは黒く見える。

肌や髪や瞳の色が異なるように、あなたが食べている光は他者とは異なり、あなたが反射している光は他者とは異なる。あなたが光を食べ尽くして、あなたの心の中の景色と体温が鮮やかで快適に感じるほど、あなたの目の前の風景と気温は殺風景で不快になる。与えなさい、そうすればあなた方も与えられる、というキリスト教の原理がこれである。

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感覚

唯我独尊の景色

動物によって世界の景色が異なって見えていることは科学的に実証されている。人間の目は、赤、緑、青の3色を重ね合わせて景色を見ているが、鳥や虫の目は、赤、緑、青、紫外線の4色を重ね合わせて景色を見ている。また当然のことだが色弱や色盲といった個体差もある。

色には波長があり、その色が違って見えているということは、その模様や形状や音声、温度も違って見えているということである。

つまり、あなたと同じ景色を他人も見ていると思うのは、錯覚なのである。

あなたにとってのy=ax+bは、彼にとってのy=cx+dであり、彼女にとってはy=ex+fなのだ。

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思考 感覚

我思うゆえに、パターン、模様、色と形あり

あなたが見たり聞いたり触ったりできる現実は、あなたの妄想である、という懐疑的な発想は、古代からプラトンのイデア論やデカルトの方法序説で語られている。プラトンやデカルトが正しくて常識が間違っているなら、現実が妄想なら自由自在にコントロールできるはずだ。

デカルトは、方法序説の中で、観察の方法論を次のように述べている。

1. 明証。真であると認めたもの以外を受け入れないこと
2. 分析。問題を出来るだけ小さな部分に分けること
3. 総合。単純なものから始めて複雑なものに達すること
4. 枚挙。見落としがないか、全てを見直すこと

つまり、観察する対象物だけを手に取って座標に配置し、虫になったつもりで内側にもぐり込み、鳥になったつもりで外側をぐるぐる見回し、内部と外部の両面から対象物を測ること。また、魚になったつもりで過去から未来へと体験をなぞって、快適と不快の両面から対象物を感じること。

景色から断片を切り取って観察することが第一歩になる。そして、断片を集めて、積み上げて、景色を再構築する。

あなたが何に関心を持って観察するかによって、現実は大きく変わるのだ。

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感覚

無意識は群がる

レジ前や駅ホームで、群れが群れを呼び、さらに群がる現象を見たことがあるだろう。

人智を超えた無意識にはミラーリング作用がある。目の前の人物と同じ動作をしてしまうのだ。あなたはマクドナルドにいると仮定しよう。人目をひく容姿や格好をしている。周りにはスマホを見ながらイヤホンをして音楽を聴く若者たちが沢山いる。あなたが食事を終えて席を立つと、違う席にいた知らない彼も立つ、あなたが一歩前に歩けば彼も一歩前に歩くはずだ。そこであなたがさっと席に戻って座り直すと、彼は迷いながら、ぎこちなく店を出るだろう。

彼の無意識はあなたの意識にリンクしていたのだ。彼の身体は、彼の意識下ではなく、あなたの意識下にあったのだ。他人の身体を操作する科学実験をTEDで見ることができる。壇上の科学者グレッグ・ゲイジは会場にいる男女を選び、双方の腕と腕に電極を貼ることで、女性の意識で、男性の腕をコントロールしてみせる。電磁力の強弱に違いこそあれ、作用する原理は同じである。