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記憶を注ぐ者

ギヴァー 記憶を注ぐ者、という地味な映画がある。

人々から、色彩や音楽、ダンス、動物など一切の記憶を奪い、愛や恋などの欲情を薬剤で抑制することで、格差や差別をなくした人工的な理想郷が描かれている。

理想郷の住人には過去の記憶がなく、知識は新しく定義されて刷り込まれているため、例えば、人を殺すことは、解放するという認識であり、抵抗感や罪悪感はない。(私たちが魚や家畜を殺して食べることに罪悪感を感じないように)

記憶を取り戻した主人公は、景色に溶け込んでいた対象の知識を持ち、対象を区別し、対象に情動を感じ始めることで、愛情や勇気、恐怖、苦悩を覚えてたじろぐが、新しい世界が、今この瞬間、すぐ手に届く場所に存在していたことに気づく。

新しい世界こそが正義だと信じる主人公が、理想郷を飛び出して最後にたどり着いた越境場所が、聖しこの夜を合唱している、よそ様のホームだった。

知識と記憶、認識と解釈が、世界をひっくり返すほどの秘密の媒体であることを、キリストのメッセージとして伝えている。

映画の出来や是非はさておき、同じテーマなので紹介しておく。